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≪月刊『タックスニュース』1月号≫第14回~不動産賃貸業の規模について~

2013/01/15 カテゴリ:タックスニュース

 今月は、不動産賃貸業の税務上の注意点についてお伝え致します。
個人として土地やマンションなどの賃貸収入を得ている場合、貸付規模の大小によって税金の計算方法に違いがあります。
 まず、貸付規模の大小はどのように判定するのでしょうか。明確に法律では決められていませんが、『5棟10室基準』というものがあり、こちらを参考にしています。具体的には、『貸家は概ね5棟以上、マンションは概ね10室以上』であれば『貸付規模が大きい』とされています。

 主な税金の計算方法の違いは下記の通りです。

①青色申告特別控除について
 青色申告の場合、貸付規模が大きい時は一定の条件を満たすと最大65万円の特別控除があります。所得税・住民税の計算をする時は賃貸収入から必要経費を差し引いて所得(利益)を計算しますが、青色申告で一定の条件を満たすとさらに所得から最大65万円を差し引くことができます。貸付規模が小さい時は65万円の特別控除額が10万円になります。ただし、貸付規模が小さくても他に物品販売業等の事業所得がある時は、『貸付規模が大きい』として取り扱われ、特別控除額は65万円となります。

②親族への給与について
 不動産賃貸業では、他の個人事業と同様に生計をともにしている親族への給与を必要経費にするためには、一定の条件があります。
 例えば、青色申告をしていて不動産賃貸業に携わる配偶者に毎月給与を支払っている場合、貸付規模が大きく一定の条件を満たしていれば配偶者への給与の全額が必要経費になります。
 青色申告でない場合、貸付規模が大きい時は収入から必要経費を差し引いた所得を限度として最大で一律50万円(配偶者に給与を支払っている場合は86万円)の特別控除があります。
 貸付規模が小さい時は、青色申告でもそうでなくても生計をともにしている親族へ支払った給与は必要経費にすることはできません。

③貸倒損失について
 地代や家賃などの債権が回収不能となった場合、貸付規模が大きい時は貸倒損失として全額が必要経費になりますが、貸付規模が小さい時は収入が発生した年に遡って、収入がなかったものとして改めて税金計算をやり直すことになります。

④資産損失について
 賃貸不動産を取り壊した場合、貸付規模が大きい時は取り壊しにかかった費用や賃貸不動産の資産損失(購入金額から減価償却費等を控除した金額のうち一定のもの)などの金額の全額が必要経費になりますが、貸付規模が小さい時は、収入からその他の必要経費を差し引いた所得の範囲内で、これらの金額のうち一定の金額が必要経費になります。

 必要に応じて弊社担当者より貸付規模などを確認させて頂きますが、ご不明な点等はいつでもお尋ねください。
(文責 多田俊生)

≪月刊『タックスニュース』1月号≫第14回~不動産賃貸業の規模について~

今月は、不動産賃貸業の税務上の注意点についてお伝え致します。 個人として土地やマンションなどの賃貸収入を得ている場合、貸付規模の大小によって税金の計算方法に違いがあります。 まず、貸付規模の大小はどのように判定するのでしょうか。明確に法律では決められていませんが、『5棟10室基準』というものがあり、こちらを参考にしています。具体的には、『貸家は概ね5棟以上、マンションは概ね10室以上』であれば『貸付規模が大きい』とされています。