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≪月刊『タックスニュース』6月号≫ 第19回~外れ馬券の取り扱いについて~

2013/06/15 カテゴリ:タックスニュース

 月は外れ馬券の税務上の取り扱いについてお伝えします。
 先日、裁判において外れ馬券の税務上の取り扱いについて、今までとは少し異なる見解が示されました。具体的には、「条件付きで外れ馬券の購入金額を経費と認める」というものです。

 競馬の払戻金は、一時所得に該当し、次の算式で所得を計算します。

  一時所得の金額=(払戻金の額-当たり馬券を購入した金額-特別控除額の50万円)×1/2

 となり、外れ馬券の購入金額は経費にすることはできません。
 ※「払戻金の額-当たり馬券を購入した金額」が50万円以下の場合は、一時所得はゼロになります。

 例えば、1つのレースで10万円×5口を購入し、うち1口の予想が的中して200万円の払戻金を受け取った場合、経費にすることができるのは、1口分の10万円だけとなります。

 しかし、条件付きで払戻金は一時所得ではなく雑所得に該当するという判決が出ました。雑所得に該当すると、経費の考え方が「その所得を得るための必要経費」となり、上記の事例でみると、5口分の購入馬券の全額が「払戻金を得るための必要経費」と
なります。

 ただ、今回のケースは特殊で、馬券購入者が年間を通じて継続的に馬券を購入して利益を得ており、また、過去のデータに基づいて、独自で当たり馬券を予想するソフトを開発し、そのレースで得た払戻金を次のレースの馬券の購入に充てるという手法を使っていたとのことです。さらに報道によると、3年間の払戻金の額が約30億円で馬券の購入金額が約28億円となっています。継続性や手法、金額からみても、通常のギャンブルとは異なり、資産運用の性格があると認められたものとなっています。
 「ここまでくると趣味や娯楽の範疇からは外れており、外れ馬券の購入金額も馬券を的中させるための必要経費である」と所得税の計算方法の認識が少し改められたようです。

 今回の判決は、無申告だったことに対する刑事事件の中で示された見解となっています。払戻金が一時所得・雑所得のいずれに該当するのかは、処分取消訴訟(民事事件)で最終的な判決が出ることになっていることから、今後の動向にも注目したいと思います。
(文責 多田俊生)