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≪月刊『タックスニュース』3月号≫第4回~平成24年度税制改正より(退職金に対する税金)~

2012/03/15 カテゴリ:タックスニュース

 皆さん、こんにちは。
 今月は退職金に対する税金のお話です。先月号では給与に対する税金について税制改正があるだろうということをお伝えしましたが、退職金に対する税金の制度も少し変わりそうです。
 退職金に対しての税金は下記の算式に当てはめて計算されます。
( 退職金 - 退職所得控除額 ) × 1/2 = 退職所得
※退職所得控除額の計算は下記の通りです。
勤続年数が20 年までの場合:40 万円 × 勤続年数
勤続年数が20 年を超える場合:800 万円 + 70 万円 ×( 勤続年数 - 20 年 )
 そして、退職所得に所得税の税率を使って所得税が計算されます。さらに退職所得の約9%が住民税となります。
(住民税の計算は少しややこしくなりますので、ここでは簡単に約9%としております。)
 簡単に事例で確認してみましょう。
他社より役員として入社し、勤続年数4 年で退職金500 万円の支給を受けた場合
( 500 万円 - 160 万円 ) × 1/2 = 170 万円(退職所得)
所得税:170 万円 × 5% = 85,000 円
住民税:170 万円 × 9% = 153,000 円
 この場合、500 万円の退職金に対して約238,000 円の所得税・住民税がかかるということになります。
 今回の改正では次の二点が挙げられています。
(1)勤続年数5年以下の役員への退職金の取り扱い
 勤続年数が5 年以下の役員への退職金については、退職所得を計算する時の『×1/2』がなくなります。
 ここでいう役員は、取締役や監査役などの役職名だけで判断するのではなく、使用人であっても実質的に経営に従事していると役員として扱われることになり、今回の改正の影響を受けることになります。
(2)住民税の税率
 冒頭の説明で住民税の税率を約9%とお伝えしましたが、今回の改正で10%となります。つまり、退職所得に対して住民税が約1%の増税となります。
 こちらは、上記(1)の役員への退職金だけでなく、すべての退職金について適用されます。
※(1)、(2)の改正点はともに平成25 年1 月1 日以降の退職金について適用されます。
 この改正点を上記の事例に当てはめると次のようになります。
( 500 万円 - 160 万円 ) = 340 万円(退職所得)
⇒勤続年数が5 年以下の役員ということで、『×1/2』がなくなります。
所得税:340 万円 × 20% - 427,500 円 = 252,500 円
⇒所得税の税率については、従来通り所得に応じて税率が高くなる
『超過累進税率』が適用されます。
住民税:340 万円 × 10% = 340,000 円
⇒税率が約9%から10%に変更になりました。
所得税・住民税の合計が592,500 円となり、改正前の238,000 円と比べて354,500 円の増税となります。
 先月号に引き続き、今回のお話も24 年3 月15 日現在では改正案となっています。正式に決まりましたら、改めて弊社担当者よりお伝え致します。
(文責 多田俊生)

≪月刊『タックスニュース』3月号≫第4回~平成24年度税制改正より(退職金に対する税金)~

皆さん、こんにちは。 今月は退職金に対する税金のお話です。先月号では給与に対する税金について税制改正があるだろうということをお伝えしましたが、退職金に対する税金の制度も少し変わりそうです。