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≪月刊『タックスニュース』10月号≫第23回 ~給与所得者の特定支出控除について~

2013/10/15 カテゴリ:タックスニュース

 みなさん、こんにちは。今月は平成25年より適用範囲が拡大された『給与所得者の特定支出控除』についてお伝えいたします。給与所得者は、職務に伴う必要経費の概算額を、給与収入から差し引いて税金を計算します。この差し引く概算経費を「給与所得控除」といい、給与収入に応じて概算額が定められています。これとは別に、実際に要した経費を収入から差し引くことができる「特定支出控除」があります。
 特定支出控除とは、給与所得者が一定の要件(※下記表)を満たす支出において給与所得控除額に上乗せして税金計算上、優遇を受けることのできる制度です。
※PDF参照
≪特定支出控除額の計算≫
 特定支出控除額は、給与所得控除額の1/2(上限125万円)を超える部分を指し、給与収入からさらに控除することができます。
(例)収入金額 500万円の場合 ※給与所得控除額は収入に応じて異なりますのでご注意ください。
  【判定基準額】給与所得控除額154万円(収入金額500万円×20%+54万円)×1/2=77万円
  このような場合、1年間で77万円を超える支出について特定支出控除の対象となり、1年間で
  90万円の支出があれば、77万円を差し引いた13万円が特定支出控除額になります。
  課税所得金額は295万円※1(給与所得控除、基礎控除、特定支出控除のみで算出)となり、
  2.6万円ほど(所得税10%・住民税10%)税負担が軽減します。
                        ※1 課税所得金額=500万円-154万円-38万円-13万円 
≪手続き≫
 特定支出控除を受けるためには、支出に関する書類(領収書等)及び職務に必要な支出であると勤務先が認めた証明書を添付して確定申告をする必要があります。
 平成24年までは要件が限定され、この制度を使っていた方は毎年全国でもわずか数人でした。今回の改正で、資格取得費の範囲の拡大、勤務必要経費が追加され、判定基準が緩和(改正前:給与所得控除額の総額)されました。上記一覧のような費用で、特定支出の範囲と勤務先に認められたものは制度が使える可能性がありますので、今年以降の領収書は保存しておくことをおすすめします。なお、適用時期は、所得税は平成25年分から、住民税は平成26年度分からとなります。ご不明な点は、弊社までお問い合わせください。                                          
                                                 (文責 井上 光義)