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≪月刊『タックスニュース』12月号≫ 第25回 ~株式等に係る譲渡所得の計算方法の見直し~

2013/12/15 カテゴリ:タックスニュース

 みなさん、こんにちは。今月は平成25年度の税制改正により見直される、平成28年1月1日以降に生じる株式等に係る譲渡所得の計算方法について紹介させていただきます。

●現行の計算方法
 現行では、個人に係る上場株式と非上場株式の譲渡損益はともに分離課税(事業所得や不動産所得といった通常の所得とは別々に税額を計算する方法)となっており、これらの譲渡によって生じた損益は互いに相殺する事ができます。その一方で、公社債の譲渡損益については原則非課税となっており、譲渡の際に損失が発生したとしても他の株式等の譲渡益とは相殺する事はできません。

●改正後の計算方法
 改正後の制度においても、上場株式と非上場株式の譲渡損益が分離課税であるという点は変わりありませんが、それぞれの譲渡によって生じた損益を相殺する事ができなくなり、上場株式と非上場株式は完全に分けて税額を計算する事になります。
 また、公社債の譲渡損益は原則非課税とされていた制度が廃止になり、譲渡益には所得税が課されるようになります。その際、国債や外国債といった特定の公社債の譲渡損益は上場株式の譲渡損益と、それ以外の私募債のような一般の公社債は非上場株式の譲渡損益との相殺は認められます。
※PDF参照
 改正前であれば、中小企業など上場していない法人の株式を事業承継で後継者に譲渡する際、もし株価の下がっている上場株式を保有されていれば、その売却損を自社株の譲渡益に充てる事で節税効果を得られる可能性がありますが、平成28年1月1日以降はこの方法が使えなくなってしまいます。自社株の承継を考えられており、なおかつ価格の下がっている上場株式を保有されている方はぜひ一度ご相談ください。
(文責 金岩宏和)