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≪月刊『タックスニュース』2月号≫ 第27回 ~非嫡出子の相続税の取り扱いについて~

2014/02/15 カテゴリ:タックスニュース

 みなさま、こんにちは。すでにテレビや新聞のニュースでご存じかもしれませんが、昨年9月4日、最高裁判所で民法の規定「非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子)の法定相続分は嫡出子の2分の1は憲法違反」との判決がありました。これにより9月5日以後は、嫡出子と非嫡出子の法定相続分が同等になり、判決前後で相続税の総額が変わるケースが出てきています。今回はこのような場合の今後の相続税について、3つのケースでお伝えします。
 ①平成25年9月4日以前に申告または処分により相続税額が確定している
非嫡出子の相続分を最高裁決定に基づいて「嫡出子と非嫡出子の相続分を同等」で計算
し相続税額が減少しても、その理由だけで更正の請求(申告のやり直し)は出来ません。
ただし、法定申告期限(被相続人が亡くなって10カ月以内)までは申告を何度も出来ますので、その場合は修正して申告することが可能です。
 ②平成25年9月4日以前に申告または処分により相続税額が確定しているが、
9月5日以後に評価誤りなどの理由で更正の請求や修正申告をする 財産の申告漏れや評価誤りがあった、あるいは遺産分割協議が確定したことや遺留分減殺請求(遺留分を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している他の相続人などに対してその侵害額を請 求すること)などの理由で改めて相続税額を確定する必要があれば、最高裁決定に基づいて「嫡出子と非嫡出子の相続分を同等」として相続税額を計算します。
 ③平成25年9月5日以後に申告
最高裁決定に基づいて「嫡出子と非嫡出子の相続分を同等」として相続税額を計算します。相続開始の日や遺産分割の日、法定申告期限が9月4日以前でも申告が9月5日以後であれば、最高裁決定 に基づく計算となります。
 なお、9月5日以後に「非嫡出子の相続分2分の1」として既に申告している場合で、
「嫡出子と非嫡出子の相続分を同等」として計算し、相続税額が減少するのであれば、
その理由で更正の請求をすることが出来ます。

 この最高裁判所の判決のニュースを聞いた時、私は「遺言書は無かったのかな?」と思いました。亡くなられる前に相続の話はなかなか難しいと思いますが、出来ることなら無用な争いは避けたいものです。事前の対策やご相談などございましたら、弊社担当者にお問い合わせください。
(文責 谷村 英子)