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≪月刊『節税コラム』11月号≫第12回~所得控除を増やして節税してみましょう!~

2011/11/15 カテゴリ:節税コラム

 少しずつ秋も深まり、そろそろ年末調整や確定申告の準備が必要な時期となりました。今回の節税コラムでは、年末調整や確定申告に向けて、少し忘れがちな所得控除についてご紹介いたします。
 所得税は、収入から必要経費と所得控除を差し引いた残額(課税所得)に税率をかけて計算されます。つまり、所得控除が増えると、それだけ課税所得が減って節税になるのです。
☆扶養控除 もっと増やせるかもしれない?!
 扶養控除の対象の範囲「配偶者以外の同一生計の親族(6 親等内の血族と3 親等内の姻族)で、所得が38 万円以下の人」について確認してみましょう。
 実は、同一生計とは、必ずしも同居でなくてかまいません。仕事でご家族と離れて暮らしている場合、大学生のお子さんが下宿していて生活費や学費を送金している場合、遠くのご両親へ仕送りされている場合もOKです。また、入院が長期にわたって一緒に生活していないという時も、治療の為であれば同居ということになります。
 【所得の多い人からの控除 ~賢い節税方法~ 】
 例えば、お子さまを夫と妻の両方の扶養親族にすることはできませんが、同一生計であれば、誰の扶養親族としてもよいことになっています。ご存知のとおり、所得税は所得が多いほど税率が高くなる仕組み(累進課税)になっています。ですから、ご夫婦共働きで奥さまの所得が多い場合、お子さまを奥さまの扶養親族にする等、ご家族のうちで所得が一番多い人に扶養親族を集めると節税額は大きくなります。
☆社会保険料控除 ご自身以外のご家族の分の社会保険料を負担しておられませんか?
 健康保険料・厚生年金保険料など、会社の給与から差し引かれている社会保険料は年末調整時に会社が控除してくれます。しかし、それ以外にご自身で直接支払った社会保険料は会社で把握することができません。ご自身の分はもちろん、同一生計であれば奥さまやご家族の分も控除の対象になります。
 例えば、20 歳を過ぎたお子さんは学生であっても国民年金に加入しないといけませんが、この保険料を負担した場合も控除の対象になります。
☆医療費控除 かかった医療費に応じて税金が安くなります!
 1 年間に病気やケガのため支払った治療費・入院費・薬代などの医療費について、ご自身と同一生計の奥さま、ご家族の分もあわせて控除を受けることができます。医療費控除の計算は次のとおりです。
医療費 - 健康保険や生命保険会社からの給付金 - 所得額の5%(最高10 万円) = 医療費控除
                                     (上限金額200 万円)
 医療費は、治療目的の費用が対象となります。美容目的の歯列矯正や予防目的の健康診断・人間ドックの費用は認められていません。しかし、治療目的であれば、カゼ薬や胃腸薬など市販薬の購入代も医療費控除の対象になります。通院の為に公共交通機関(電車・バスなど)を利用した場合の交通費も認められています。また、病状からみて緊急を要する場合や公共交通機関の利用が難しい場合に利用するタクシー代も医療費控除の対象となります。
 医療費控除は年末調整では受けられませんので、確定申告を行なう必要があります。医療費の支出を証明する領収書や交通費のメモ記録は必ず保管しておいてください。
 介護保険に関係する費用については、特別養護老人ホームに入所した要介護者の介護費と、食費にかかる自己負担額の1/2(半分だけが対象)や在宅介護サービスにかかる自己負担額が対象となります。この場合は法定の「利用料領収証」を発行してもらい、確定申告書に添付する必要があります。医療費控除の対象になるか否か判断しづらいものもたくさんあります。迷われましたら弊社担当者までご相談ください。
☆小規模企業共済等掛金控除 ぜひご活用を!
 個人事業主が事業を廃止した場合や会社役員の方が退職した場合など、その後の生活の安定や事業の再建を図る資金の準備のための共済制度として、中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済があります。共済の掛金は全額が課税所得から控除することができます。
 掛金は月額1,000 円~70,000 円の範囲内で金額を決めることができ、1 年以内の前納掛金も全額が所得控除の対象です。例えば月々の掛金を70,000 円とした場合、1 年間で840,000 円(70,000 円×12 ヶ月=840,000 円)を控除することができます。さらに翌年1 年分も前納すると2 年分の合計1,680,000 円が控除の対象となります。
 ただし、この共済制度については下記のような注意点があります。
 ①加入要件がいくつかある。
 ②毎月の掛金の分だけ支出が増えることになる。
 ③所得控除の対象となる前納掛金は1 年以内のものとなっていて、前納した翌年以降は1 年分しか控除を受けることができない。
【事例】役員Aさんの役員給与の収入が1,000 万円で、奥さまと大学生のお子さんの3 人暮らし。家族全員の年間の医療費の合計が30 万円(保険などの補填金10 万)あり、年末に小規模企業共済に加入(掛金を7 万円/月・1 年分前納)した場合を考えてみましょう。
※PDF参照
 上記の通り、医療費控除や小規模企業共済等掛金控除を活用した場合は、1,570,500 円-1,288,500 円=282,000 円の節税につながります。
 また、個人事業主が事業を廃止した場合や会社役員の方が退職した場合、掛金の合計金額以上の返戻金を受け取ることができます。そして、この返戻金は退職金として扱われ、所得税・住民税の優遇規定を受けることが可能になります。
 上記以外にも、生命保険料控除や地震保険控除などがあります。また、医療費や社会保険料は家族全員分を合計し、所得の多い人に支払ってもらうことでさらに節税になります。上記の事例のようにシミュレーションが必要な場合やこのケースはどうだろう?と判断に迷われる場合は、弊社担当者にご相談いただければと存じます。
(文責 谷村 英子)

≪月刊『節税コラム』11月号≫第12回~所得控除を増やして節税してみましょう!~

少しずつ秋も深まり、そろそろ年末調整や確定申告の準備が必要な時期となりました。今回の節税コラムでは、年末調整や確定申告に向けて、少し忘れがちな所得控除についてご紹介いたします。 所得税は、収入から必要経費と所得控除を差し引いた残額(課税所得)に税率をかけて計算されます。つまり、所得控除が増えると、それだけ課税所得が減って節税になるのです。