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≪月刊『タックスニュース』12月号≫第13回~慰安旅行について税務上の注意点~

2012/12/17 カテゴリ:タックスニュース

 みなさん、こんにちは。今月は会社で福利厚生の一環として慰安旅行を実施した時の税務上の注意点をお伝えします。

 慰安旅行でかかった費用を福利厚生費として会社の経費(損金)にするためには、下記の通りいくつか条件があります。
①慰安旅行が全従業員を対象としているものであること
 全従業員に呼びかけ、50%以上参加することが必要とされています。工場や支店ごとに行う場合は、それぞれで従業員の50%以上参加することが必要です。
②不参加者に対して金銭の支給がないこと
 会社業務の都合を理由として旅行に参加できなかった人に金銭を支払った場合は、不参加者に対する給与とみなされ、源泉所得税の対象となり、所得税・住民税が課税されることになります。
 一方で、自己都合で旅行に参加できなかった人に金銭を支払った場合は、その支払った金額が旅行参加者も含めて全従業員に対する給与とみなされ、従業員一人ひとりの源泉所得税の対象となります。例えば、自己都合で欠席した人に対して一律5 万円を支給した場合、慰安旅行自体が福利厚生とみなされず、旅行参加者は慰安旅行という経済的利益を会社から受けたものとして、全従業員それぞれに5 万円の支給があったものとみなされ、所得税・住民税が課税されることになります。
③社会通念上、妥当な内容であること
 明確な線引きは難しいところですが、国税庁の取り扱いとして、下記の内容が概ねの目安だとされています。
●旅行期間が4 泊5 日以内であること。
(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4 泊5 日以内であること。)

もしも、これらの条件を満たさなかった場合は旅行費用の全部または一部が福利厚生費に該当しなくなり、役員や従業員に対する給与とみなされます。従業員の分は給与として法人の経費(損金)になりますが、役員の分は法人の経費(損金)になりますが、役員の分は法人の経費(損金)にならず、法人税が課税される ことになります。
 また、慰安旅行に従業員の家族や取引先も参加し、その人たちの費用も負担した場合はどうなるでしょうか。従業員の家族の分は従業員への給与に該当し、源泉所得税の対象となります。取引先の分は接待交際費に該当し、中小企業の場合であれば原則として旅行費用の10%が会社の経費(損金)にならなくなります。
 社内の親睦を図ること、従業員の日ごろの労をねぎらうことなどを目的とする慰安旅行ではありますが、税務上の福利厚生費とするには上記のような注意点がございますので、企画の時点でぜひご確認ください。また、旅行費用の請求書や領収書、パンフレットなどの資料は保存しておくようお願い致します。                  
(文責 多田俊生)

≪月刊『タックスニュース』12月号≫第13回~慰安旅行について税務上の注意点~

みなさん、こんにちは。今月は会社で福利厚生の一環として慰安旅行を実施した時の税務上の注意点をお伝えします。 慰安旅行でかかった費用を福利厚生費として会社の経費(損金)にするためには、下記の通りいくつか条件があります。