「シルバー人材センター」をご存じですか?地域社会の貢献のために定年退職を迎えた方が働く組
織のことです。シルバー人材センターは市町村ごとに設置されており、それぞれが独立した運営を
行なっています。登録会員数は全国で約73万人にのぼり、民間企業や公共団体からの仕事を受注し、
適任者を選出します。組織の目的は、生きがいを得るための就労であり、今までの経験を活かして
社会貢献したいという方々が活躍されています。高齢者の方(原則60歳以上)が、経験やライフス
タイルに合わせ働くことができ、僅かですが報酬を得ることもできます。
シルバー人材センターは発注者との間で請負又は委託契約を交わし、会員に臨時的・短期的に就
労を依頼するため、雇用関係は成立しません。したがって給与等の収入に該当せず、受け取る対価
は「配分金」といいます。
配分金は所得税法上『雑所得』に該当し、源泉徴収がありませんので、ご自身で確定申告をする
ことになります。雑所得の金額は、原則として雑所得の収入金額から必要経費を差し引いて算出し
ますが、配分金収入の場合は経費が65万円未満の場合は65万円を上限、かつ収入金額を限度に控
除することができます。給与収入のある方は、65万円から給与所得控除を差し引いた残高が限度に
なります。
≪配分金収入以外に公的年金やその他雑所得がある方の一例 ※63歳の場合≫
① シルバー人材センターからの配分金収入 900,000円(必要経費150,000円)
② 公的年金収入 1,500,000円
③ 生命保険会社からの年金収入 600,000円(必要経費480,000円)
それぞれの所得金額は以下のようになります。
① 配分金収入 900,000円-650,000円(上限控除額)=250,000円 [A]
② 公的年金収入 1,500,000円×75%-375,000円=750,000円 [B]
(※計算式:左下図「公的年金等に係る雑所得の速算表」より)
③ 生命保険の年金収入 600,000円-480,000円=120,000円 [C]
※図1(PDF参照)
[A][B][C]の所得金額合計は、1,120,000円となり、ここから基礎控除の380,000円を引いた
740,000円が所得税の課税所得となります。(※便宜上、その他所得控除は考慮していません。)
課税所得が発生する場合は、確定申告が必要になります。雑所得以外の収入がある場合の所得控
除について、ご不明な点があればお気軽に弊社にお問い合わせください。
(文責 井上光義)